この記事は、下の記事の続きとなっております。
小学生だったワタクシ、よりによって
楽しみにしていた演劇鑑賞(オヤケアカハチ)の日に発熱して保健室で寝てました。
そこへ、校長先生と見知らぬオッサンがやってきたのです。
(ここまでが前回のあらすじ)
さて、校長先生は、どうやらお客さんに学校の施設を案内しているようでした。
子どもたちがいないので、そりゃー心おきなく
音楽室とか理科室とか図画工作室とか図書室とか教室を見学できたんでしょう。
で、最後に保健室。
しかし、ここには一人の女児 (私) が寝ておった。
ま、保健室なんで、気分不良の子どもが寝ているのは、
かなり普通の光景だと思うんです。
校長「どうしたんだね?」
保健「熱があるんですよ~」
という保健室の先生との会話が聞こえていたんですが、
どういうわけか、校長先生が連れてきたお客さんが、
私のベッドのカーテンを開けて入ってきたんですな。
そしておもむろに
私をゆびさして
「
この子には…
悪霊が
憑いている!」
はあ?
おっさんの後ろで、保険の先生と校長先生が
微妙な表情で顔を見合わせています。
しかし、おっさんは超真剣な眼差しで続けるんですな。
「早く
悪霊を追い出さないと、熱があがるぞ~!おいちゃんが追い出してあげるね~」
いきなり
悪霊といわれましても。
一応、確認しておきますが
私、
首がグルグル回ったりとか
ベッドごと浮かんだりとか
階段をブリッヂして降りたりなんか
絶対に
ずえーーーったいに
してませんから!
というわけで、
気分不良の子どもが寝ているという
保健室の日常は、
悪霊払いという
非日常へと
急展開したんですな。
おっさんの背中越しに覗き込む
不安そうな保健室の先生と校長先生の
あの顔が忘れられない。
私だって複雑です。
悪霊といわれても自覚ないし
そもそもどうすればいいのか自分で判断できないし
逃げることもできないし
まな板の上の鯉の気分。
悪霊はどーでもいいから、オヤケアカハチが気になりますー。
なんていいわけもできず、オッサンの悪霊払いが始まったんですわな。
お寺のお坊さん見たく
「かーーーっつ!」
と棒で喝をいられたらいやだなあと思ったんですが、
「悪霊はね、足から出ていくんだよ」
と、オッサンはワタクシの足の裏をマッサージしてくれました。
とっても気持ちがよかったです。
てもみんだと有料だけど、この悪霊払いだと無料。
(当時はてもみんなんてないけど)
しばらくモミモミしたあと
「ハイ、出ていった!」
と、悪霊払いは終了しました。
よくわかんなかったけど、私の中にすくっていた悪霊は
ふしゅ~と煙の如く 足の裏から逃げていったそうです。
「もう大丈夫!ね?…ねっ?……ねっっ!?」
と念を押されたので、思わず肯いたワタクシ。
せっかくだから、悪霊の姿をひとめ見たかったのに。
一仕事終えたオッサンは、とても満足げでした。
ずっと困った顔で眺めていた校長先生は、何事もなかったかのように
オッサンを促して、学校案内を続けてました。
しかし、2人の姿が見えなくなってから、保健室の先生が
「ね、ホントに気分よくなったの?」
と聞いてきたので、胡散臭いと思ったんでしょう。
いや、あの場に誰がいても胡散臭いと思うだろう。
私も半ば無理矢理「うん」と言わされたカンジだったんで、自信なく
「よくわかりません」
と答えるにとどまりました。
結局、あのおっさんは何者だったんだろう。
息子が保健室で休んでいるっていうから、思い出しちゃったじゃないか。
ついでにその後、私の熱は
急上昇して40度まで上がりましたさ。
悪霊は、払われてなかったみたいでした。うーん。…どうかな…。
さらに翌日休んで学校に復帰した私。
気になるのは
オヤケアカハチがどんな話だったか、です。
「ね、どんなハチだったの?」
さっそく友人に尋ねてみたところ
「うおーってゆって グルグルって回って パタって倒れて死んだ」
という返事が返ってきました。
「…?」
よくわかりませんが、
どうやら 大変壮絶な人生を送ったハチなんだなーと
語彙の少ない友人の答えから、いいように解釈したんですが。
もう少し年齢を重ねてオヤケアカハチがどういう人物だったかを知ったとき
私は少しだけ悲しくなりました。
(
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